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パニック障害


パニック障害は不安障害の一種で、突然理由もなく、動悸やめまい、息苦しさ、発汗、吐き気、手足の震えなどの発作に襲われます。「死んでしまうのではないか」と思うほど強い発作が何の前ぶれもなく起こりますが、病院で検査しても特に異常が見つかりません。自分ではコントロールすることができないため、その後も、「また発作が起きたらどうしよう」という不安(予期不安)がつきまとうようになります。   

動悸 そのうち、電車やエレベーターの中など発作が起きても逃げられない場所へ行くことが辛くなり、さらにエスカレートすると、外出自体ができなくなってしまう場合もあります。

循環器や呼吸器、消化器などの問題で同じような症状が出る場合もありますので、ちゃんとした検査が必要ですが、検査の結果、何の問題も見つからなければ、多くの場合パニック障害が疑われます。

最終的な診断基準には、アメリカ精神医学会が2000年に発行したマニュアルDSM、もしくはWHOが1992年に作成した分類基準ICD-10のどちらかが用いられるのが一般的です。



パニック障害の原因

パニック障害の原因は、まだ十分にはわかっていませんが、大脳辺縁系にある扁桃体を中心とした神経回路が過活動を起こしているという説が有力になっています。また、そのような脳の過活動の背景には、過労や長期にわたるストレスなどが考えられます。

脳
外界から得られる様々な情報は大脳辺系の扁桃体に送られます。扁桃体では、送られてきた情報が自分にとって「快」か「不快」かを判断して、「幸せだ」「嬉しい」あるいは「いやだ」「悲しい」などの情動を引き起こします。

扁桃体の情報はさらに、青斑核、視床下部へと送られます。視床下部は自律神経を支配しているので、心臓や肺、消化器に分布する自律神経を刺激し、動悸、呼吸困難、吐き気などの身体情報を起こします。

パニック障害では、青斑核の働きが大きく関係しています。青斑核は神経伝達物質の一つであるノルアドレナリンを含み、これが大量に分泌されると、恐怖や不安の感情を引き起こします。つまり、パニック発作は、扁桃体から青斑核にかけての連動が誤動作を起こすことが原因の1つと考えられています。

また、通常ならば、脳では、このような不安や恐怖に対して防御機構が働くようになっています。その役割を担っているのが前頭葉です。しかし何等かの理由で前頭葉の機能が低下していると、防御機構が作動しなくなり、不安や恐怖にストップがかからなくなってしまいます。


西洋医学的アプローチ
パニック障害では、扁桃体や大脳皮質、大脳辺系などに分布するセロトニンが少なくなっていると考えられています。このため、セロトニンや精神安定に関わるGABAをコントロールする抗うつ薬や抗不安薬を使った薬物治療が中心になります。

抗うつ薬や抗不安薬は、パニック発作の抑制には一定の効果があり、症状によっては、薬物治療が確実に必要な場合もあります。

しかし一方では、記憶力や認知力の低下、眠気などの副作用や、依存性の問題と抱き合わせであることも否定できません。



うつ病と漢方

すべてのパニック障害が漢方薬で治せるわけではありません。
パニック障害に対する漢方薬の使用については、主に3つのパターンがあります。

① 漢方薬だけで治療する。
② 西洋薬を減薬する際の代替として漢方薬を使用する。
③ 西洋薬の副作用を軽減するために漢方薬を使用する

①~③のいずれのやり方で漢方薬を利用するかは、症状によって異なりますので、自己判断せずに専門家に相談することを強くお勧めします。


五臓論
中医学のベースには「心」「肝」「脾」「腎」「肺」という五臓を軸にした五臓論という考え方があります。

パニック障害は、五臓論で言えば、長期にわたりストレスを受けた結果「肝」の失調により、「肝」と相性関係(一方が他方を「養う」関係)にある「心」の機能が低下し、動悸や呼吸苦などの症状が起こると考えられます(右図 青実線の矢印)。また、「肝」と相克関係(一方が他方を「滅ぼす」関係)にある脾(消化器系)も障害されて吐き気が生じます(右図 青点線の矢印)。

このため、「肝」の失調を改善する漢方薬を中心に、症状に応じて「心」や「脾」を立て直す漢方薬を使います。あくまでも一例ですが、以下のような漢方薬が候補になります。

  柴胡加竜骨牡蠣湯
  酸棗仁湯
  甘麦大棗湯
  逍遥散
  心脾顆粒
  開気丸

また、パニック障害では脳内のセロトニンの量が減っていることが分かっています。セロトニンの原料は腸で作られることから、胃腸の失調がパニック障害に関係していると考えられる場合もあります。その場合は、腸内環境の改善など胃腸系を元気にすることで、根治や再発の予防が期待できます。

さらに食事や睡眠など生活養生なくして、メンタル疾患の完治はあり得ないといっても過言ではありません。漢方カウンセリングでは、このような生活養生の改善も大切な治療方法の一つとしてとらえて、個々の状況に合わせて、アドバイスを行っていきます。

 






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