★腸内細菌のはなし★

健康な人の腸内には、約200種類、100兆個くらいの腸内細菌がいます。人間の細胞の数が37兆個ですから、どれほど多い数かわかると思います。また、人が生命活動を維持するのに必要なゲノム(DNAの遺伝情報)のうち、人間自身が持っているのは8%程度で、残り9割以上は体内の細菌に依存しており、そのうちの6割は腸内細菌だと言われています。

腸内には、免疫細胞の約7割が集まっていて、腸内細菌がその働きを活性化しています。この他、腸内細菌には消化吸収を助ける、ビタミンを合成する、大便を作って腸内の不要物を外に押し出す・・・等々さまざまな働きがあります。

また、幸福感をもたらすドーパミンや安心感に関係するセロトニンの材料であるトリプトファンを作っているのも腸内細菌です。さらには鬱や認知症、自閉症なども腸内細菌と関係していると言われています。

腸内細菌には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3種類があることはよく知られていますが、悪玉菌が悪い菌というわけではありません。悪玉菌はたんぱく質を分解するために必要な菌です。大切なのは、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスを保つことです。

腸内細菌は腸管内の粘液層で生きており、粘液層が適度に潤っていることが元気な腸内細菌を育てるために大切です。粘液層の潤いを保つために、漢方薬では参苓白朮散や小建中湯が役に立ちます。この他、甘麦大棗湯、人参湯などにも腸内細菌が育ちやすい環境を整える働きがあります。
はしま(中国林蛙の輸卵管)を使った健康食品にも胃腸の粘膜の質を改善する働きがあります。

食べ物では、細菌類をたっぷり含んだ発酵食品が、腸内細菌の活性化に役立ちます。特に日本古来の発酵食品である納豆、みそ、しょうゆなどです。日本古来の発酵食品に含まれる菌は、すでに私たちの腸にすみついている菌と同じものが多く、活性化しやすいのです。またヨーグルトなど動物性乳酸菌は胃酸に弱く腸に届くまでに殆ど死んでしまいますが、納豆菌など植物性の菌は胃酸に強く、生きて腸に届きやすいという特徴があります。

逆に腸内細菌が減ってしまう原因として、食品添加物、残留農薬、マーガリンなどのトランス脂肪酸、抗生剤などの医薬品、環境ホルモンなどが知られています。この他、睡眠不足やストレスも腸内細菌を減らす原因になります。